2016年12月03日

『聖の青春』@札幌シネマフロンティア

映画の日に『聖の青春』を見に行った。
夭逝した将棋の棋士、村山聖のノンフィクション小説を元にした映画。
原作は読んではいなかったが村山九段の事は知ってはいたので、彼の生き様を追ったものになっているのかと想像していたが、思っていた以上に将棋そのものが前面に出されていた。
ので、将棋や村山九段を全く知らない人だとわからない部分もあるのではないかとも思った。
ただ、単に事実を伝えるというより村山と羽生、二人の邂逅、将棋を通しての二人だけにわかりえた世界を描くことをを中心に据えていて、それは十分に伝わるものになっていたと思う。
その二人を演じた松山ケンイチと東出昌大、体型まで変え命を削った様を演じきった松山ケンイチは勿論、羽生という現存するレジェンドを演じた東出も凄かった。しぐさ等完全にそのもので、たまに本物に見える瞬間さえあった。二人による将棋を指す場面は何よりも張り詰めていて美しくもあった。

羽生現三冠の「時々怖くなる事があるんです」という台詞、インタビューか何かで読んだ記憶がある。
究極まで深く深く読むことで私たちには見えないものを見ているんだろう。そこにすべてをかけている棋士の人たちを私は尊敬している。
当時全盛期だった羽生は、あれから20年近くたった現在もまだ三冠を維持している。だが、名人は失冠し王将リーグも20数年ぶりに陥落し、ここのところ若手に負ける事も多くなってきている。
単なる不調なのか、それとも長かった「羽生世代」が終わろうとしているのか。

映画の中で村山から送られてきたアンケートの回答用紙の一つ上の設問が、「人間がコンピューターに負ける日は来るか」との問いだった。
村山の答えは「来ない」だった。
悲しいかなまともに対したらかなわないという現実を今将棋界はつきつけられていて、コンピューターとの付き合い方も変わってきている。
彼が「その日」を見ずに済んだのは、良かったのかもしれない。

ちょうど数か月前に東京に行った際千駄ヶ谷の将棋会館を見てきた事や、現在の羽生、コンピューターとの関係なども考えてしまい現実とのクロスオーバーで個人的によりリアルな物語として受け取らされた。
そしてギリギリの中で将棋を指している様はかっこいいと思わせてくれる映画でもあった。
現状いろんな問題はあるし過渡期だったりはするけれど、彼らの戦う世界をもっと見ていたい。

http://satoshi-movie.jp/
posted by シノブ at 17:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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