2008年01月30日

社長が訊く『大乱闘スマッシュブラザーズX』(Wii.com JP)

http://wii.com/jp/articles/smashbros/

つい先日「尊敬する人はイチロー」と書いたばかりだが、
任天堂代表取締役社長 岩田聡。
(有)ソラ 桜井政博。
(あと今回の話に直接関係ないけど、任天堂代表取締役専務兼情報開発本部長 宮本茂。)
以上も追加でお願いします。

いやいやいやもうどの部分から語ったらいいのやら。
スマッシュブラザーズというシリーズ自体について語りたいこともいっぱいあるし、発売を明日にひかえたスマブラXに対する期待、このインタビューを読んで思ったこと。岩田・桜井について。

社長自らが社員にインタビューを敢行するという、中小規模の会社ならまだしも1000人超を抱える大企業としては考えられないような企画。
言い出しっぺが社長の岩田自身だと言う事実が何より一番すごい。

この企画の編集をしているのは永田泰大という元ファミ通編集部の人で、今はほぼ日刊イトイ新聞をやっている。
私はこの人の書いた「ゼルダ」と「ポケモン」の記事読んで泣いたことがある。「ゼルダ」の方は、生まれて初めて泣けた「ゲームレビュー」だ。よもやゲームを評する文章で泣くとはね。

余談
今永田がどんな事やってるのかネットで調べてみてたら、件のレビューをあげてるページを見つけた。まさにその2つを。やはりみんな感じた事は一緒だったんだな。
http://www.geocities.co.jp/Playtown-King/4566/etc/gameetc/nagata1.html
私の書くものが、この人の影響を受けちゃってるっていうのがバレバレかもしれません。久しぶりに読んだ。やっぱり泣いた。


大乱闘スマッシュブラザーズは、元々岩田が当時社長をしていたHAL研究所で作られたゲームで、その中心になっていたのは、今回のインタビューの登場人物、岩田と桜井だった。
初代スマッシュブラザーズの評価は、二分されていた。というか、最初はそもそも評価対象の台上にもあげられていなかったというのが近い。
任天堂オールスターの冠がついている事もあり安直なキャラクターゲームと見られ、深みに到達する前に判断をされてしまう。
また対戦に特化したために、削った部分をマイナス要素としてとられる。
出来上がったものをどう楽しむかなんていうのはユーザーに委ねられて然るべきもので、製作者の思惑がどうであろうと、本来関係ない。
それでも、自分たちの作ったゲームが誤解を受けている事に対し歯がゆさを感じない作り手などいない。

実際のところ、このゲームはバカ売れした。
しかし、「浅いゲーム」という印象はもたれたままだった。
先に書いた永田が、ファミ通時代にやっていた「ゲームの話をしよう」という対談をまとめた本に、当時の岩田と桜井のインタビューも載っている。
彼らは正直に、その評に対しての気持ちを述べていた。ゲームに入れ込んだものを見てもらえないことは残念ではあるが、反省すべき点でもあったかもしれない。
すでに世に出たものに対して、直々にフォローを入れるというのは決してカッコのいい行為ではないかもしれない。が、自分たちが作り上げたものに自信があったからこそ、言いたいこともあったんではなかろうかと思う。

またちょっと余談になるが、その頃「発掘系ゲーム雑誌」と銘打った『ナイスゲームズ』という、その自称通り売れている売れていないに関わらず「良いと思うゲーム」を取り上げるというコンセプトのゲーム雑誌があったのだが、それに初代スマブラが取り上げられた。
雑誌の方向性からいうと、小中学生を中心に人気の出たスマブラは全く真逆な位置にあるゲームで、記事内でも「うちが扱うのはおかしいかもしれない」などと書いていた。しかし雑誌のカラーに一見反しても、このゲームを誤解をしている層にその良さを伝えたい、それだけのものがあったということなんだろう。
実は私はこれを読んでスマブラを買う気になったのですよ。なんだ、そんなすごいゲームだったのかと。
その時までは私も、誤解していたクチだったんです。所詮キャラクターを寄せ集めただけのゲームだろうと決めつけていました。すみません。
ちなみにこの号には今以上に童顔な桜井のインタビューも載っているのだが、その前のページには小島秀夫のインタビューが載っている。
そう、今回Xで参戦することになった、メタルギアソリッド・スネークの生みの親だ。


そんな一部からは不当?な評価を受けた前作に続き、ゲームキューブで出た、スマッシュブラザーズDX。
正直やり過ぎだろうと思った。
当時の感想。
http://halash.seesaa.net/article/1120630.html
これを出した時点では桜井はもう次はないと踏んでいたらしいのだが、確かにこれ以上何をすればいいのかというようなボリュームだった。
でもね。
桜井はさらにとんでもないものを作りやがったんだよ。


ああスマブラの概歴だけでこんなことになってしまった・・・肝心の「社長が訊く」についてはまだひとっことも書いてないっていうのに。
そもそも一から全部書く必要があるのかと。今時wikipediaでも見れば全部把握できてしまうようなことを。
いつものごとく過剰ですみません。


さてやっと本題。
この「社長が訊く」のコーナーはWiiに関するプロモーションの一環としてWiiの発売直後あたりに行われたもので、今回の桜井との対談は特別編になります。
他の話も面白いものが多いので、もし良かったらどうぞ。
http://www.nintendo.co.jp/wii/topics/interview/vol1/index.html
「おどるメイドインワリオ」なんか砕け過ぎてて面白いし、「ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス」の回では、仕事っていうものに対して考えさせられる部分もあったりして。(これ読んで私はより宮本を尊敬するようになった)

しっかしまあいわっち(あえて某所由縁の愛称を使わせてもらいます)腰が低いこと低いこと。どの人に対しても丁寧語だし。長い付き合いの人も多いからかもしれないけど、何というか垣根がないというか。
物腰やわらけーし、ちゃんと現場を見てるし、明確なビジョンもあるし、プログラマーとしての実績もあるし経営者としても超優秀だし。
いいなあ、こんな人が社長だなんて・・・・

桜井は今はフリーだが、前述したようにかつては岩田の下で働いていて、今回は謂わば「元社長が訊く」。
スマブラというゲームの立ち上げを一緒に行った同士でもあり、また桜井という人がそういう人だというのもあるのだろうけど、社長と一介のフリーゲームクリエイターとのそれとは思えない、全く対等の感がある対談です。
桜井って人はいつ見ても堂々としている。恐ろしいくらい自分てもんがしっかりある人だ。
最初にそれを感じたのはスマブラDXでの音楽担当者たちとの座談会でだ。
http://www.nintendo.co.jp/n01/n64/software/nus_p_nalj/smash/flash/0118/index.html
その中の一人の言葉:
「桜井さんだったら、相手がどんなに有名な人でも「直せ、直せ」って言うと思うけどね。(笑)」
自分の専門ではない音楽の面でも、相手が誰であろうとも、通すべき主張はきちんと通す。
当たり前のことなんだけどね。でもそれを出来る人がどれだけいるか。


・・・すいません、ここまで書くので正直かなりの消耗をしてしまったので、肝心要の今回の『社長が訊く』については、気になった部分ピックアップでよろしいでしょうか。龍頭蛇尾尻すぼみ。
一行空けて書いてるのが私のコメントです。


■桜井:
だって『スマブラ』をつくるためには、
本当に、すべて捨てきらないとダメなぐらい
やらないといけないですからね。

スマブラ拳!てサイトがあって(http://www.smashbros.com/jp/)、発売前日の今日まで、平日は毎日更新されてきた。
ここを見たら、すんげー濃いゲームだというのがわかってもらえると思います。
更新のたび、毎回新しい情報に驚かされてきた。でも、まだ見せてない部分があるというその底の深さ。
桜井はこのゲームに取りかかるために、誘いのあったプロジェクトを全て断ったそうだ。


ひとつのゲームのために人材の募集をかけるという異例のやり方をした理由について。
□岩田:
自分がこういうことをしようと思ったのは、
もう、たった一点の根拠しかなくて、
それは、桜井政博という人間に対して
私がもっとも高く評価している部分と
非常に深い関係があるんです。
ひと言でいえば、それは、
「ものがまったくできていないときに
 完成イメージが頭の中で
 ほぼ完璧にできて動いている」
ということにほかならないんです。

ああこれは私が桜井がすごいと思う部分の一つでもある。
世の中には自分一人でモノを作れる人と、人を使いその上に立つに値する人というのがいるが、岩田も桜井もその両方を備えている稀有な人物だ。
自分の中にきちんとしたイメージがあるから、人に伝えることが出来るわけでね。


□岩田:
というか、そもそも、
ライトユーザーとかコアユーザーとかを
切り離して考えるべきではないと思うんですよね。
だって、全員、最初はライトユーザーじゃないですか。

ね。そうだよね。


■桜井:
なんというか、自分にとってのゲームって、
自分がつくって自分で遊ぶためのものではないんです

あああかっこいい。


□岩田:
私が思っていたのは、
世の中のオンラインゲームというのは
どうしても基本的には強者のための場所で、
ひとりの幸せな人が存在すると、
百人千人の不幸せな人が
生まれているような面があるということで。

任天堂はどちらかというといわゆる「オンラインゲーム」には消極的だった(ただしネット関係については、昔から独自の取組をしては来ていた)。
元来の形とは違う、任天堂なりのオンラインの形の今現在の提案が、スマブラなのだろう。


ステージエディット機能について。
■桜井:
もう、ぜひむちゃくちゃなステージを
つくって遊んでほしいなと。

そして、それが配信される訳です。楽しみだ。


音楽担当の酒井さんという人はとてもゲームが苦手で、スマブラXを遊んでみたその人が言うに「ゲームにハマる人の気持ちが、いまやっとわかったような気がする」。
■桜井:
アクションゲームを
ほとんどプレイしたことのない人ですからね。
なんか、いろんなところで詰まって、
シャワーを浴びてるときなんかに
「ああ、こうすればうまくいくかも」とか
そういうことを考えていたらしいです。

頭の中でふっと解法を考えてしまうその感覚、よくわかる。


今回初めて入れ込まれた要素、「最後の切札」。しかしそれは実は9年前、初代スマッシュブラザーズの制作の時点で桜井の頭の中にあった。
■桜井:
じつは、ニンテンドウ64版の『スマブラ』で収録した声を、
そのまま使っているキャラクターがいます。
その声には、最後の切りふだ用の声を収録していて、
今回、それをそのまま使っているんです。

もちろん、ニンテンドウ64版スマブラに「最後の切札」という要素はない。・・・この人の頭の中というのはどうなっているんだろうね。全てがきっちりつながっている。


今回のスマブラXは音楽も半端ない。
詳しくは前に書いたブログ記事参照。
http://halash.seesaa.net/article/42610128.html
□岩田:
あの、ええとね、じつはね、
契約とか知財管理をしている部署からは、
「これ1本で普通のソフト30本分です」
って言われているんですよ。
■桜井:
いや、ほんと申しわけないです(笑)。
□岩田:
ええと、全体で、ざっくり何曲くらいあるんですか。
■桜井:
それは・・・・・・。(耳打ちをする)
□岩田:
はははははは。

笑っちゃうような曲数らしいです。


HAL研時代、スマブラが生まれた瞬間。
□岩田:
当時は、いろんなソフトを手がける一方で、
本当に自分たちがつくりたいもの、
アウトプットというのを模索している時期で。
そんなときに、桜井くんが
なにかおもしろいものを考えているというので、
「それはさっさとつくって動かしたほうがいい」
ということで、
「オレがプログラム書くから、企画、書きな」
と桜井くんをうながして。
とはいえ、当時はふたりとも仕事を抱えているので
とても時間はとれなかったんですけど。

ほんといい上司だなあと思う。
たぶん、「時間がない」とか、「何とかのせいで出来ない」とかいうのって、全部言い訳なんだろうな。本当にやるとなったら、そんなの障害でも何でもないんだろう。


初代スマブラについて。
□岩田:
いまでこそすっかり認知されていますが、
当時は、そのオールスターな顔合わせが
誤解されたりもしましたよね。

はい、すいません、その誤解していた一人です。
でも、いまや予約をして購入するような身の上です。



1月31日発売、大乱闘スマッシュブラザーズX。
明日仕事帰りに買ってくる。
上の子供には、明日は部活で帰りが遅くなるので自分が帰ってくるまでやらないでと強く言われている。
下の子は毎日毎日Wiiでスマブラ拳をチェックしていて、ずっとこの日を楽しみにしていた。
自分はというと、昔に比べるとゲームを始めるという行為自体の敷居が高くなってしまっているというのもあって、子供らがやっているのを見るだけでお腹いっぱいになってしまうかもしれない。
しかしやっぱり自分の手で触れてみないとな。Wi-Fiとかで対戦する度胸は・・・ないかな。どうかな。
自分でやってみて、感嘆したい。堪能したい。
でも、子供らがわいわいやっているのを見てるだけでも、たぶん私は幸せな気分になれると思う。
スマブラはそんなゲームだ。
posted by シノブ at 23:00| Comment(2) | TrackBack(0) | ゲーム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
いいな、

いいな、

超おもしろそう。

まだリンク先の記事は読んでないけど是非読んでみよう。欲しくなっちゃうかな。
人におすすめするの上手だねえ。

買ってみてどうどう??面白い?
リモコン振り回すのかな。

今度ゆっくり聞かせてね。
Posted by すず音 at 2008年02月01日 23:21
>すず音っちょ
発売されてからもうすぐ1ヶ月ですが、うちの子供らは超ボリュームをすでにほぼやりつくしてしまい、「飽きた」とか言い出してます。アホか。
でも友達が家に来たり逆に遊びに行ったりした時にはこのゲームのみやってます。
小中学生、というかうちの子供の周りでのこのゲームの普及率はほぼ100%に近いです。ちなみにポケモンは完璧100%でした。
大人になったら、「子供の時スマブラとかやったよなー」なんて同世代話として思い出話に絶対花が咲くんだろうなあと思うとちょっと微笑ましかったりします。
うちらがファミコンの話とかするみたいな感じで。
Posted by シノブ at 2008年02月27日 20:46
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